応募部門
1.トールペイント部門
- A.オリジナル作品(トールペイントの技術を使って独自のデザイン、配色等により創作した作品)
- B.その他の作品(トールペイントの技術を使って、既存の作品やデザインを参考にアレンジした作品模写も可)
2.白磁ペイント部門 (焼成済みの実用に耐える上絵付けのオリジナル作品)
3.ジュニア部門 (小学生・中学生が自由な発想で描いた作品)
審査方針
トールペイント日本展の審査においては色彩、構成、技術に支えられた独創性と表現力、そして完成度を評価の指針とする。
- 独創性と表現力-アレンジ力
- 色彩と構成―デザイン
- 技術力-テクニック
- 作品としての完成度-まとめ上げる総合力
審査員
審査員総評
鈴木 慶子
コロナ禍の中、トールペイント日本展に向けて作品制作に頑張られた皆さまにまずは敬意を表したいと思います。作品提出までの道のりは並大抵のものではなかったことでしょう。
応募作品の総数は前回よりやや減少していると聞きましたが審査会場に並んだ第1次審査通過作品が放つ総エネルギーはやはり大きなものがありました。特にA部門で上位にノミネートされた作品に心惹かれるものがありました。審査は独創性と表現力、色彩と構成、技術力、作品としての完成度を指針として評価されますが、グランプリに選ばれた「森のアクアリウム」は審査員全員一致で高評価がつきました。サンゴ礁や海の生き物が精緻に描かれていて印象的な作品です。
B部門はオリジナル作品ではないので技術力に重点が置かれるわけですが今回その点で全般的に少し物足りなさを感じました。模倣する以上、オリジナルに近い完成度が要求されていると思います。
車 洋二
新型コロナウイルスの流行が未だ収束を見ない中、第4回トールペイント日本展の審査を無事に終えることが出来たことを先ずは喜びたいと思います。困難な状況の中ご応募いただいたペインターの皆様、実施いただいた事務局の皆様にお礼申し上げます。
今回は新型コロナウイルスの影響もあり前回より若干少ない作品数だったそうですが、大変レベルの高い作品が揃って難しくも楽しい審査でした。毎回トールペインティングの幅が拡がっているのを感じますが、今回も独自性の高いユニークな作品が多く寄せられ、さらなる可能性を感じることが出来ました。グランプリ、金賞、銀賞をはじめとした高位の受賞作品は、高い技術に裏打ちされた独自の表現を高い次元で実現されていたと思います。今回は特に傾向のようなものは感じられませんでしたが、それぞれのやる気が感じられる作品たちでした。高い技術と独自性、この2つの点を皆さんがさらに追求されることを願っています。
バルーチャ美知子
グランプリはじめ各賞受賞の皆様、受賞おめでとうございます!
全ての作品を拝見して、まず感じたのが、例年に比べ、物語を想像させてくれる作品の多いことでした。作品それぞれの世界がそこで物語られ、作者の視点が明確に感じ取れる作品には、ゆったりとした空気が流れています。色調も、明度,彩度をとらえた作品が増えてきました。これらの点からして、チャレンジ精神に満ちた、個性的な作品が多く、見る者の目をグイっと引き寄せていきます。反対に、冒険せずに、安定した作品を心掛ける作品も、目を引きました。描くことの楽しさが伝わる作品も貴重です。そして、これまで4回の審査を行ってきて、いつも思うのは、「グランプリ作品は、良い!」です。今回も、満場一致の結果です。気のゆるみのない、楽しさありの、心地よい深みと、華やかさ、力強さといったものを感じました。グランプリ受賞作品は、ペインターの創作意欲を刺激し、チャレンジャーの心を揺さぶります。これで、また、次回が楽しみになってきました。
山本 靖久
この度、審査に初めて携わりました。トールペイントという範疇に収まるのではなく、画家の視線から観ても、純粋な絵画として十分に魅力のある作品が多く見参されました。その中で、受賞した作品はテクニックのみならず、作者の作画意図が明確に表現され、更に独創性も加味されたものに票が集まったように思います。
日本デコラティブペインティング協会会長(高橋純子)
今年3月からの社会状況の変化により、家族がテレワークやホームステイになり、ペイントする時間に制約が出る中、応募された方々の情熱を感じるほど丁寧に仕上げられた作品は、それぞれに技術力も高く個性豊かで魅力的な作品が多く、選考はとても難しいことでした。
トールペイントは外国から日本に紹介されて30数年たちますが、模写することから始まった外国のデザインを、元々私たちの生活の中にあった「和」のモチーフと融合させて新たな世界が広がっている楽しさを感じました。次回のコンクールも楽しみです。ペイントする楽しさが、さらに広まっていくことを願っています。