審査方針
トールペイント日本展の審査においては色彩、構成、技術に支えられた独創性と表現力、そして完成度を評価の指針とする。
- 独創性と表現力-アレンジ力
- 色彩と構成―デザイン
- 技術力-クラフツマンシップ
- 作品としての完成度-まとめ上げる総合力
審査員
審査員総評
車 洋二
私が日頃関わっているファインアートの世界とは異なり、ある一定の制約の中でオリジナリティーを発揮するということは、たいへんなことだろうと感じました。その中で自分なりの独自性を持った作品が輝きを放ち、各審査員の評価を獲得したと思います。和風の作品の入賞が多かったですが、和風のものを特に選んだわけではなく、オリジナリティーが際立った完成度の高い作品を選んだ結果そのようになりました。グランプリ作品は、技術の確かさと作品としての力強さで、全員一致で決定しました。
谷口 広樹
トールペイントの広がりと深さに圧倒され、皆さんの丁寧な技巧に驚かされました。そこに展開されているものは、どれも生活の中で息づくアートで、驚きと同時に癒しを覚えたものの、この審査はかなりむずかしいと感じました。それは専門外なのでつい、トールペイントとは何かと問うてしまうからです。しかし、どのジャンルでも前に進むことが大事です。枠にとらわれず興味深いものを制作していただきたいと強く感じ、そうした気概のあるものに票を投じることにしました。
日本デコラティブペインティング協会会長(髙辻由利子)
ペイント部門、設立15周年を心からお祝い申し上げます。記念フェスティバルにふさわしく、どの作品もテクニックに優れているだけでなく、素材や色彩などオリジナリティーが際立つ力作ぞろいでした。作品に込められた思いが伝わる個性豊かな作品の数々に心を打たれました。年々、新しい技法も加わり進化しているペイントの世界を発見でき、この先の可能性も楽しみです。
バルーチャ美知子
今回の審査では、多数の多様な表現法の中にあって、全部門に共通して「和」のパワーと安定感を感じました。これは、あらゆる技法、デザインを試みた後に、日本のペインターなら、必ず一度はチャレンジしたくなるテーマです。この経験を経て、今までの殻を破った、日本人ペインターらしい作品が生まれる、よい兆しが見えてきたと感じ、これからに期待したいと思います。
森 初子
バラエティーに富んだ楽しい作品が多く、どの作品も情熱と個性にあふれていましたが、特に受賞作品はそれらに加えて高い技術とセンスのよさが光っていました。心惹かれる魅力的な作品が多く、受賞作品を選ぶのにたいへん苦労しました。海外から持ち込まれたトールペイントの技術を、日本人はしっかりと学びとり、咀嚼し、そこから新たな「日本のペイント」が生まれていることを実感することができ、とても嬉しく思いました。